痛みが長引いている方へ

▮ 身体を修復・再生させる自然治癒力

身体のどこかが痛くても、夜寝て朝起きたら忘れたように治っていた子供のころ。

これは人間にもともと備わっている「自然治癒力」の働きによるものです。
子供の回復力や若い時に無理がきく理由は、この力が存分に働いているからなのです。

自然治癒力とは成長ホルモンの身体の修復させる機能によるものなので、思春期をピークに加齢と共に衰えます。
大人になってから疲れが取れにくかったり、痛みが治りづらくなっていませんか?

あなたを悩ませているその症状が、かれこれ1ヶ月以上続いているとしたら、この自然治癒力がかなり低下している可能性があります。そのまま放っておいても自力回復は難しいかも知れません。

加齢と共に成長ホルモンは減少しますが、実は背骨と骨盤を整えると自然治癒力の働きが高まり、身体の破損個所を修復・再生させられることが解っています。
痛みや不快な症状は我慢すると慢性化し、治りにくくなります。早めに解決しましょう。

▮ 脳の機能低下が慢性痛の原因

痛みは大まかに2つの種類に分類できます。

ひとつは急性の痛み。

「ズキズキ」「キリキリ」といった刺すような痛みが特徴で急性の痛みです。

もうひとつは慢性的な痛み。

「ズーン」と重く感じます。

この急性痛と慢性痛は、同じ「痛い」でも痛みの仕組みが違うので治療の仕方や回復の仕方も違います。

急性痛は比較的早期に回復しますが、やっかいなのは慢性化した痛み。慢性症状の回復には長い時間がかかります。

その理由について整形外科学会の指針によると「腰痛の発症や慢性化にはストレスが関与」とあります。腰痛の多くは心理的原因であることを示しました。

こうした痛みの関係は脳科学の分野でも研究されており、腰痛患者の7割が健康な人に比べて脳内血流量が低下していたことが判かりました。血流量低下の原因は痛みのストレスによるものです。

血流が低下すると脳の活動が低下します。腰痛患者では「側坐核(そくざかく)」という脳の一部分に著しい活動低下が見られました。

側坐核は、「痛い」という信号が脳に届いた時に、鎮痛物質を放出させる働きをしています。これにより、脳は痛みを自動的に抑制しています。

ところが、慢性的にストレスを受け続けると、だんだん側坐核の働きが弱くなります。活動が低下した側坐核は鎮痛物質を出せなくなり、やがて激痛を感じてしまうようになります。

また、側坐核から分泌される神経伝達物質ドーパミンは幸福感や意欲の源なので、機能が低下するとやる気が失せ、元気が無くなり、鬱病や認知症発症のリスクも高まります。

痛みの悪循環
ストレスには怒り・不安・恐怖・妬みなど色々ありますが、実は「痛み」の感情も強烈なストレスになります。つまり痛みがストレスを生み、そのストレスがさらに痛みを生むという悪循環に陥ってしまうのが慢性症状の正体なのです。

痛みだしてから6か月以上経過すると慢性化すると考えられていますから、なるべく早い段階で治療を開始した方が良いでしょう。

慢性化すると「痛い」というストレス感情が日常的にると、身体にも心にも余裕がなくなってきて、イライラしたり怒りっぽくなってしまうこともあるかも知れません。

QOLも低下しますし精神衛生上良くありません。

※QOL(Quality of Life)生活の質

▮ 慢性痛を克服するために

痛み出してから6か月以上経過してしまっていても、どうかあきらめないでください。慢性痛は治らない訳ではありません。克服するにはしばらく時間がかかりますが、治したいという前向きな意志があれば必ず好転します。

慢性痛克服には痛みの悪循環を断ち切るしかありません。
痛みの悪循環から逃れるには、
痛みを遠ざけること!
これが必要なのです。
だから積極的に治療を受けて痛みの感情から脳を解放してあげましょう。楽な状態で出来るだけ長期間過ごすことで側坐核の機能が回復し、痛みの悪循環を断ち切ることができます。

そうして痛みが遠のいたら、なるべく痛みには目を向けず他の楽しい事を考えたり趣味などに没頭できると良いです。

好きな食べ物や音楽、香りなどに側坐核の働きを高める効果があるそうです。食べてストレスを発散することは理に適っていたのですね、でも食べすぎには注意しましょう。

痛みの悪循環について分かりやすく説明されている本を紹介します。
著者は青梅市にお住いの方で、7年間も悩まされ続けた腰痛を克服するまでのストーリーです。

「腰痛は脳の勘違いだった」 著者:戸澤洋二
出版社:風雲社

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